妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

ハムレットは若ハゲだった?

書き忘れていたが、先週18日(土)に演劇を見てきた。タイトルは『ハゲレット』。“ハムレット”ではない。“ハゲレット”だ。
これは、シェイクスピアの『ハムレット』は初演当時あれだけ民衆に支持されたということは、小難しくて文学的で退屈な演目ではなく、大笑いできて楽しい芝居だったのではないか、という考えのもと、劇作家の鈴木聡が笑いの要素を入れて脚色したものである。
ハムレットがあれだけうじうじ悩むってことは、彼は若ハゲだったかもということで、近藤芳正演じるハムレットはうっすら禿げている。しかし禿げていることはコメディタッチに脚色したことの象徴みたいなもので、中身は正真正銘『ハムレット』だ。
僕は恥ずかしながら『ハムレット』のストーリーを知らなかった。それはシェイクスピアなんてつまらなさそうで見る気が起きなかったからだ。こんな僕のような人はたくさんいると思う。
そんな人にはこれはうってつけだ。『ハムレット』ってこんな話だったのか、と最後まで飽きずに見ることができた。こういう手法はとっつきにくい古典には有効だろう。
飽くまでもコメディタッチに脚色しただけであり、コメディにしたわけではない。爆笑できる喜劇に“変えて”あるわけではないのだ。根本は悲劇である。
シェイクスピアの戯曲を全訳した小田島雄志演劇評論家・東大名誉教授)が監修していて、彼のお墨付きである。
今後もこの路線でシェイクスピアをどんどん上演してもらいたい。こんなにわかりやすくおもしろいんだったら僕は見に行きますよ。