妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

最近読んだ本

書いてなかったが最近読んだものをまとめてご紹介。
『火の粉』 雫井脩介 著 (幻冬舎文庫
火の粉 (幻冬舎文庫)
なかなか評判のいい作家なので期待して読んだら、ホントに良かった。おもしろくてあっという間に読んじゃった。
退任前最後の裁判で無罪判決を出した裁判官。自分の信念に基づき出した判決だった。その後、自宅の隣りに引っ越してきた人がいた。その人こそ自分が無罪にした男だったのだ。隣りに引っ越してくるその真意は何なのか。
じわじわと来る恐怖の書き方はけっこうリアル。心理的にドキドキするホラーみたいなもんだ。
この元裁判官の家庭の嫁・姑問題も絡んできて、いやーな感じがどんどん増幅する。
これは映像化するとぜったいにおもしろくなると思うぞ。最後の方なんかすごいもん、恐くて。

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』 リリー・フランキー 著(扶桑社)
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
大ヒット中のベストセラー。これだけ泣けると騒がれるとあまのじゃくな僕は絶対泣かないと心に決めて読み始めたものの、見事に泣かされました。ちくしょう。
リリー・フランキーの自伝的小説。まぁこんないいオカンが出てくりゃそりゃ泣けるってもんよ。
読んだあと、もうちょっと母親にやさしくしてやろうかなとか、大事にしようかなとか、柄にもないことを思ってしまった。この本には、母親のこと好きだって言っても恥ずかしくないんだよって言われてるような気がする。
親孝行したいときに親は無し、とはならないようにしたいな、と。うん。

『喜知次』 乙川優三郎 著 (講談社文庫)
喜知次 (講談社文庫)
大好きな乙川優三郎の時代小説。これで3冊目。初めて読む長編だ。
裕福な武士の家に育った小太郎に妹ができた。もらわれてきた花哉は次第に家に慣れていく。藩内の派閥抗争で世の中がごたごたしていく中で、小太郎は幼馴染とともに翻弄されながらも成長していく。
一言でいえば小太郎の成長を描いた小説だ。そこに花哉、幼馴染の台助、猪平、それぞれの家族が絡んでいろんな事件が起こる。
この時代は本当に理不尽なことがまかり通っていたんだなぁと、主人公の怒りに自分の心がシンクロする。小太郎が自分の将来に目覚めるくだりは「俺もがんばんなきゃな」と思わず胸が熱くなる。
さて次の乙川作品が楽しみだ。