妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

川上健一、ああ青春

『ららのいた夏』 川上健一 著(集英社文庫
ららのいた夏 (集英社文庫)
ああそうだったそうだった。川上健一ってこんなだったなぁ。
と、読んでから思い出した。といっても『翼はいつまでも』しか読んだことはないのだが。まさに青春小説ど真ん中である。読んでて気恥ずかしくなるくらい。
純也は高校の運動会のマラソンの最中、ららと出会う。走ることが好きで好きで仕方がないというららは天才的な才能をどんどん開花させ、ランナーとして大舞台へと羽ばたいていく。純也はプロを目指し野球の世界で一生懸命だ。お互いに惹かれあう二人は励ましあいながら青春時代をともにすごす。
ららが天真爛漫すぎて「こんなやついねぇよ」と言ってしまえばそれまでだし、ストーリー展開、セリフのクサさがあまりにもストレートで、ある意味できすぎな予想通りの青春小説なのである。読んでて笑ってしまうくらいわかりやすい。児童文学と言ってもいいくらいわかりやすい。でも読み終わってからなぜか心に残るのである。「子供だましじゃんかよ」とバカにしつつ、しっかり感動してるのだ。くやしい。
願わくば中学生のときに読みたかった。そしたらもっと感動しただろうな。