妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

じんわり泣ける

胸の中にて鳴る音あり

胸の中にて鳴る音あり

いま自分の読書生活でもっとも大切な作家、上原隆の新刊だ。
「つらくてしょうがないとき、人はどうやって自分を支えるのか」これが上原隆の一貫して書き続けるテーマだ。一篇が10ページにも満たない短いルポルタージュ・コラム。しかも書かれている人物はそこらにいる市井の人々。そういった人に話を聞きに行ってはコラムにする。
しかし普通の人々にこそいろんなドラマがある。もちろんあっと驚くような波乱万丈な人生が隠されているわけじゃない。でもそれがいいんだなぁ。
なんだか本当に泣けるのだ。悲しくてもつらくても、それでも人は生きていく。そんな当たり前のことに気づいて泣けるのだろう。
僕は読んだ本はほとんどすぐ処分するのだが、上原隆の本だけは本棚に残してある。どうしようもなくつらくなったときに手に取ろうと思う。