妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

またまた泣ける!

『友がみな我よりえらく見える日は』 上原 隆 著 (幻冬舎アウトロー文庫)
友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)
これもまたいい! 前に読んだ『雨にぬれても』と同様、ルポルタージュ・コラム。普通の人のエピソードを普通に書く。
この人のものは、人から話を聞いてそれをそのまま書くというもの。その人に起きた出来事、話してくれた言葉、それだけなのだ。著者(上原隆)がどう思ったとか、どう感じたとか、それがほとんどない。著者が前面に出てくるルポはよくあるが、そういったものとはまったく逆である。著者が隠れている。
でもそれが心臓をぎゅっとつかむのだ。涙腺を刺激するのだ。事実だけを、言葉だけを並べてここまで胸にくるのはすごいと思う。
人は立ち上がれないほどの絶望を感じたとき、どのようにしてそれを克服するのだろう。「人はみんな自分をはげまして生きている」。あとがきに書かれているこの言葉こそこの本のテーマである。
つらくてどうしようもないとき、この本を読んでみてほしい。