戦時下、演劇に携わる人たちがどうなったのか、演出家・八田元夫とその劇団「桜隊」を中心に描かれる。
演劇は好きでよく観るが、この話はまったく知らなかった。
戦争が始まると政府によって演劇はあらゆる面で規制を受ける。これがうっすら知ってはいたがとんでもない取り締まりだ。脚本を検閲されてストーリーがわからなくなるほど削られる。上演中は禁じられたことをやっていないか役人が見張っている。ちょっとでも逆らうと逮捕されて拷問である。
いま様々な題材の芝居が演じられているこの現代が奇跡のようだ。たかだか数十年前はこんなだったのだ。考えられないくらい恐ろしい。
劇団は無理やり移動劇団をやらされ地方に巡業させられる。
戦争がこれほどまでに何もかも変える。また戦争が起これば同じことが繰り返される。現代人に限ってまさかと思うだろうが、戦前の人たちはみんな「まさか」と思っていたはずだ。