死刑のための殺人: 土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録 (新潮文庫)
- 作者: 読売新聞水戸支局取材班
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 文庫
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「死刑になりたいので人を殺した」という犯人を死刑にすることは刑罰となるのか。
どんな言葉を持ってしてもこの犯人の心を変えることができない無力感がすごい。こんな人間が存在するのか。
結局死刑が行われ、この犯人はもうこの世にいないが、どうすればよかったのかまるでわからない。
でも死刑執行が早すぎたとは思う。死刑になりたいと願っている人間への罰はやはり終身刑のような「生きさせること」だろう。死にたいのに死ねない、その苦しみの中で少しでも犯人の何かが変わる可能性はゼロとは言えない。
最終的に死刑にしなくてはならないが、それを少しでも先延ばしにすべきだった。反省まではいかないにしても「悪いことをした」と自覚させてから死刑にしないと刑罰の意味がない。
途轍もない無力感といろんなことを考えさせられる事件だ。