- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2016/04/12
- メディア: 文庫
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初めて読んだ中村文則。
なるほどこういう仕組みに凝ったミステリなのね。いろいろ仕掛けがあると著者は書いているが、そこまで複雑ではない。
途中からの謎が解けていく辺りからが随分急いでまとめにきたなと思うくらい性急で、スマートではない気がした。
ここは特に誰も読んでないと思うのでちょっとネタバレ的なことを書くが、献辞のイニシャル2人が誰だということが話題にもなったようだし、僕も読み終わってじっさい誰なんだと思った。
これ、よく考えてみると、読者と著者に認識の違いがあるなと思った。
著者はこれはあの登場人物2人のことだと言っているのだが、それは読者も百も承知である。そうでなくて、読者はこのイニシャルが何だかわかれば新たな謎が解けるのだと思っているのだ。
つまり著者はこのイニシャルは何でもいいわけだ。あの2人のことですよと提示できていれば。
読者はこのイニシャルの名前は何と言うのか知りたがっている。
すれちがっているような気がする。