- 作者: 神山典士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: 単行本
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映画『FAKE』を観て、この本を読んで、神山典士氏の『FAKE』評を読むと何となく全貌がわかってくる。
神山氏は『FAKE』は調査報道のようなものがまったく無く、ただパンダを映し続けているだけだと批判する。たしかに映画は何の検証もなくダラダラと佐村河内を撮り続ける。これは森達也がラスト12分を撮りたいがために作った映画だからだろう。そもそも佐村河内の嘘を暴くつもりなどまったくなかったと思う。
また、神山氏は佐村河内が障害者の子どもを自分が有名になるために利用していたことを、映画で描かなかったことを批判している。これも森達也は描く気がなかっただけだ。たしかにこの本を読むと障害者の子どもの被害を第一に訴えているし、この部分だけでもう佐村河内は人間失格である。
まあここを読んでいる人はいないと思うので映画のネタバレを書くが、
佐村河内は映画のラストでパソコンやキーボードを使って曲を書く。映画としてはこれで彼も曲を作れるんだぞと言いたいのだろうが、この本を読むとあれは何の不思議もない。
アマチュア時代、佐村河内は同じやり方で曲を作っているし、楽器が弾けない、譜面が読めないだけである。つまり書こうと思えば(パソコンを使って)書けるがつまらない曲しか書けないのである。
映画ではオーケストレーションも自分でやっているように見えたが(譜面を書くシーンがあったかどうかは忘れた)、この本を読む限り譜面が書けないはず。どうやってやったのだろう。あそこが佐村河内が森達也に吐いた嘘だったのかもしれない。
しかしこの本が本当だとすれば少しでも佐村河内の肩を持つような『FAKE』は罪だなぁ。
こういう人は復活をさせてはいけないよ。第2、第3のゴーストライターを作り出すぞ、絶対。