妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

さすがのうまさ 乙川優三郎

さざなみ情話 (新潮文庫)

さざなみ情話 (新潮文庫)

時代小説でいちばん好きな乙川優三郎。またこれも泣かせる話である。
売笑として生きる女、高瀬舟を操って身を立てる男、どちらも将来に希望が持てない。ゆえに互いを心の支えとして生きている。
どうにもやりきれない思いを抱かせる話だ。特に最後は涙なしでは読めない。
こういう時代がこの日本に確実にあったんだと思うと悲しい気持ちになる。無念の積み重なりが今の世を作っていると思うからだ。