妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

極上の時代小説

夜の小紋 (講談社文庫)

夜の小紋 (講談社文庫)

大好きな乙川優三郎の時代小説。短篇集。
すべて家庭の事情に翻弄されてやりたいこともできずに年をとってしまった男女が主人公。
その生きる困難さは今の時代の比ではない。特に女は大変な時代だったと思う。
ただ何とか生きがいのようなものを掴みかけるところで終わるから暗い気持ちにならないで済む。
優しい筆致で丁寧に描かれるこれらの人々は読む人の心を揺さぶる。いま生きるのが辛いと思っている人は勇気づけられる気がするのではないだろうか。