妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

暗くなる本

『殺人者はそこにいる−逃げ切れない狂気、非情の13事件』「新潮45」編集部 編(新潮文庫
殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)
しまった。気分が落ち込んでるこんなときに、こんな本を読んでしまった。でもこのシリーズ、好きなんだよなぁ。
新潮45」に掲載していた事件モノのノンフィクションだ。すべて殺人事件を取り上げていて、なぜ事件が起こったのか、細かい取材で明らかになった事実からその経緯を組み立てていく。
殺人事件ばかりだから当然暗ーい話になってくる。僕らの日常のすぐ横に殺人へと駆り立てる狂気の落とし穴がある、嫌でもそんなことを考えさせる。
この中でいちばんきつかったのは、<葛飾「社長一家」無理心中事件>だ。夫が妻と娘を殺し、自分は首吊り自殺を遂げる。この夫が自殺をする一部始終を自分でカセットテープに録音していたというのだ。なぜこんなもんを残したのだろうか? 文章になったものを読んだだけでも背筋が寒くなった。作家・岩井志麻子はこの本の解説で、これを読んでしばらく鬱になったと書いているが、本当に鬱になるよ、これは。
一篇一篇が重くて、ひとつ読み終わるとすぐに次に読み進められない。こんな思いをしてまで読む必要はないんだけど、でもまた読みたくなっちゃうんだな。