妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

やっぱり寿司だよ、寿司!

『至福のすし 〜「すきやばし次郎」の職人芸術』 山本益博 著(新潮新書
至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術 (新潮新書)
寿司好きには憧れのブランドとも言える「すきやばし次郎」。そんな次郎に惚れ込んだグルメ評論家・山本益博の次郎賛歌本。
そうとしか言いようのない持ち上げっぷりなんだもん。そりゃもちろんうまいでしょう。うまいに決まってますよ。でも読んでる途中で、これが寿司のことを言ってるとは思えなくなってくるんだな。なんかどっかの美術館で絵画の批評をしてるみたいな。
ま、次郎の寿司を“芸術”と言い切ってるんだからそのつもりなんだろうけど。でも度が過ぎると笑えますよ、マスヒロさん。
あと、「食べ手として、わたしにも拍車がかかった。」という表現がおかしかった。小野二郎さんが78歳にしてまだ寿司職人としての技術の向上に努力しているという事実に対しての著者の思いである。「食べ手」って・・・。作り手に対して言ってるんだろうけど、食べるプロフェッショナルなんてあるのかよ(笑)。料理評論家が食べるプロなわけがない。食べる側にプロもアマもない。
いろんなところにツッコミどころがあっておもしろい本だった。
あ、勘違いしないでね。次郎の寿司は僕にとっても憧れであり、小野二郎さんの仕事に対する姿勢は感心するばかりだ。まあ二郎さんが生きてるうちには食べにはいけないだろうな、残念ながら。