妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

なるほどー

『片想い』 東野圭吾 著(文春文庫)
片想い (文春文庫)
性同一性障害”という重いテーマを扱っているが、タッチは青春小説。東野圭吾もスタート地点は青春小説を書きたいという思いだったようだ。雰囲気はSMAPの「夜空ノムコウ」から拝借したと本人が言っている。
それにしてもこれだけの長い物語をあっという間に読ませる力には恐れ入る。この読みやすさがこの著者の最大の魅力ではないだろうか。
もちろん読みやすいからといって中身が薄いわけではない。過去の作品にもトリックに感心する作品がたくさんあったし、ミステリとしての完成度も高い。
ただ、この作品はミステリの謎という部分では勝負してないのかもしれない。そういうジャンルにとらわれずに物語のおもしろさを読むようにしたい。
あの『秘密』のあとに出ただけあって姉妹編のような期待を持つかもしれないが、それは酷。『秘密』の衝撃は望まないように。