みうらじゅん原作の映画『アイデン＆ティティ』を見に行った。2回目。初めて見たとき「ぜったいもう一回見よう」と思ってたから念願かなっての再見です。
本当に愛すべき映画だ。純粋でストレートな青春映画なのだ。
あまりに純粋で、だらだらした生活を送っている自分には痛いほど胸に突き刺さってくる。
主人公の中島はまっすぐで不器用な生き方しかできないバンドマン。バンドブームに乗ってメジャーデビューするが、事務所は自分のやりたいロックとかけ離れた歌謡曲みたいなもんしか歌わせてくれない。そしてあっという間にブームは去る。手のひらを返したように冷たくなる世間。でも中島は自分のやりたいロックだけを信じて歌い続けるのだ。
この映画を象徴するセリフ『やらなきゃならないことをやるだけさ。だからうまくいくんだよ』。もともとボブ・ディランの歌の歌詞らしいが、ぼくは映画を見て以来この言葉を何度も心の中で唱えている。
もしこれが「結果なんて考えるな。やるべきことをやるだけだ」といったニュアンスの言葉だったら、聞き流していたと思う。
「だからうまくいくんだよ」甘いかもしれないが、ここにぼくは励まされる。
いろいろなことを乗り越えてきた（あるいは翻弄され続けてきた）中島が最後の最後でこのセリフを言うことに意味がある。
ぼくは「やらなきゃならないこと」をやっているのだろうか。常に自問しながらぼくは生きている。
