妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

なるほど

 

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

 

今更これを読む。売れたってことはおもしろいってことだろうから。

確かになかなかおもしろかった。

文体も今まで読んだことのないみずみずしいもので、現役に近い人が書くからこその生々しさがある。

ストーリーはあってないようなもので、いろいろな登場人物の視点から切り取られた青春群像劇だ。

タイトルは内容にさほど関係がなく、普通ならこう付けないだろうが、こうしちゃうのが若さなのだろう。このキャッチーさも売れた要素の1つだろうから、まあ俺が歳をとったってことなんだろうな。

でも若い人向けと思って敬遠していたが、自分の高校生時代を思い出してしまうということは普遍的な内容なのだろう。俺も「下」の人間だったからよくわかる。

これ、どうやって映画化したのかすごく気になるな。

再読は続くよ

 

倒錯のロンド 完成版 (講談社文庫)

倒錯のロンド 完成版 (講談社文庫)

 

 これまた再読。多分30年ぶりくらい。

例によって内容は記憶の彼方。まったく覚えていない。

しかし、この作品かどうかわからないが、折原一はあまり自分に合わないと思って、その後ほとんど読んでない。だから30年ぶりに読めば少しは印象が違うかもしれないと読んでみた。

いやぁやりすぎじゃないかな。プロットはすごいと思う。こんなのを思いついたら書きたくもなるだろう。

プロット優先だからなのか、文章は平易で登場人物もステレオタイプ、話がどんどん進んで脚本を読んでるみたい。

30年前は多分複雑すぎて頭が追いついていかなかったんだと思う。

イデア一発のドンデン返しミステリとして評価はできるが、それ以上の感想はないかなぁ。

再読祭り

 

 懐かしい館シリーズの再読。

これもまた内容が記憶からすっかり消えている。覚えていることといえば「家の中に人形がいくつも置かれている」ということだけ。忘れるもんなんだなぁ。

異色作というだけあって異色すぎる真相だった。当時「はっ?」ってなった記憶があったもんな。

いや、アクロバティックなんでそう思っただけで、おもしろいことは間違いない。

ネタバレにならないようにすると、あの人が実質出てなかったり、あの人関係ないし、メインのトリックってこういうパターンのミステリではよく使われるやつだし(これが嚆矢なのかもしれないけど)。

まだ館シリーズの再読は続きます。

正統派謎解きだな

 

 そういやこれも読んだんだった。

前作『メインテーマは殺人』がなかなかおもしろかったので第2弾のこれも。

アクロバティックなところがない、しっかりとしたミステリという印象。

作中の人物が作者という構成だけど、かなり重ねてあるらしく、現実とフィクションが交錯しているようだ。

最後の謝辞もどっちが書いているのかわからずおもしろい。

原題が前作は“The word is murder”、今回が“The sentence is death”ということで、次はThe paragraph・・・となるのかどうか。日本題はこれに呼応していないような気がするが大丈夫か。でもsentenceに「判決」とか「裁き」という意味があるのは知らなかった。

これまた再読

 

 懐かしい作品が新装版として出ていたので久しぶりに読んでみた。

岡嶋二人はその昔読みまくったなぁ。何読んでもおもしろかったんで、コンビ解散後の井上夢人も今に至るまで読み続けている。

これも大好きな作品で、と言っても例のごとく内容は忘れている。どこかに男女何人かが閉じ込められて殺人事件の推理をするという、そのことだけ覚えてて、どんな事件だったかラストがどうなったかなどまったく覚えていなかった。

いやぁおもしろかった。

会話だけで物語が進むという純粋推理ものって昔から好みなんだよね。

そういや純粋推理もので石持浅海の『扉は閉ざされたまま』っていうのがあってこれも好きなんだが、タイトルそっくりだな。

 

長岡節がいい

 

にらみ (光文社文庫 な 51-1)

にらみ (光文社文庫 な 51-1)

  • 作者:長岡弘樹
  • 発売日: 2021/01/12
  • メディア: 文庫
 

 何を読んでもおもしろい長岡弘樹

これは短編集。連作ではなくいろんな題材の話が入っている。

鮮やかなオチと伏線の回収が持ち味だろうが、あまりに鮮やかすぎてオチを読者に考えさせることも多い。表題作がいちばん好きだが、読み終わって訳がわからなくてポカーンとしちゃった。後から「なるほど」とわかったけど。

「百万に一つの崖」もよかった。つらい読後。

ただいつもの長岡弘樹の作品より強引な感じの話が多い気もした。「餞別」の図のやつはどうしてああなってたのかな?その後の徳永の行動はわかるんだけど。

まあまあかな

 

ポール・マッカートニー 告白

ポール・マッカートニー 告白

 

 作者が行った過去のいろんなインタビューをまとめたもの。だからポールの発言はいろんな時代に渡る。

あまり目新しいものはないし、暴露的な発言もない。優等生的な言葉が多いのはポールだなぁと思う。

つまりはそこまでおもしろくはなかった。

ポールの発言以外の作者の文章はいらなかったんじゃないか。あってもいいがもうちょっと少なくていい。

そして最後の作者おすすめのポールの曲50選はまったく不要だ。あれ何のために入れたんだ?