- 作者: 乙川優三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 単行本
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かなり期待して読み始めたが、期待しすぎたかもしれない。つまらなくはないが、時代物のような感動はなかった。
短編集だったから良かったものの長編だったら読み切れていたかどうか。
どれも房総半島の海辺の町が舞台になっていて、男女の心の機微が細やかに描かれる。
何がいけないのか。おそらく現代ものだと嘘くさく感じてしまうからではないか。これが時代物だと嘘臭さが緩和されるどころか作品のケレン味となっていい方向に影響するんだと思う。(ま、別に時代物の乙川作品も地味な作品が多いのでケレン味というほどのことではないが)
もちろんいい作品もあった。「サヤンテラス」「ミラー」「ビア・ジン・コーク」などはなかなか良かった。
しかし帯のコピー『「珠玉」としか言いようのない13編』はやりすぎだと思う。珠玉ではないというのではなく、こんなコピーではハードルを上げるだけ上げてしまうではないか。