- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2015/02/06
- メディア: 文庫
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SFではあるのだが、ラブストーリーでもあり、とてもよくできたいい話ばかり。
キャラメルボックスの芝居でまず初めに見て、これがとても良かったので本も読んでみた。
最初に芝居で見たのは「吹原和彦の軌跡」という短編で、2時間の芝居にするため、もっと他の要素も盛り込んでかなりドラマチックに変わっていた。すごく切ないラブストーリーだった。
他の短編もキャラメルボックスで演劇化されているが、見たものもあれば見ていないものもある。
連作短編というか、独立した話であるが、ある部分でつながっているというとても構成が巧みな短篇集だった。
単なるタイムトラベルの話ではなくクロノス・ジョウンターにはある欠点があるためにとても切ない話にならざるを得ないのである。
どれもハッピーエンドで終わるのが切ないながらもほっとできてよい。
ただ「吹原和彦の軌跡」だけが単なるハッピーエンドではない。これがこの小説の最大の切なさを生んでいるのだ。これが泣かずにいられようか。