妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

これは大傑作!

ラバー・ソウル (講談社文庫)

ラバー・ソウル (講談社文庫)

外見のハンデキャップから引きこもりになった主人公と彼が一目惚れしたモデルの女性との顛末。
単行本の時から評判が良かったので、文庫化されてすぐ読んでみた。
井上夢人だからおもしろいことは間違いないとは思っていたが、これほどまでの傑作だとは思わなかった。
いろんな登場人物の証言が折り重ねられて話は進む。最初これがどのように展開していくのかまったく予想がつかないので、期待はずれだったらどうしようと思っていたが、その予想をはるかに上回る結末で、読後言葉が出なかった。
ミステリとしても完璧におもしろいし、ミステリを抜きにしても感動で胸が詰まった。
途中ひょっとして東野圭吾の『容疑者Xの献身』と似ているんじゃないかと心配になった。あれは私はあまり認められないので。でもそんなもんじゃなかった。
これは映像化は絶対に不可能である。読書の楽しみはこういうところにある。