妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

く、暗い・・・

『発火点』 真保裕一 著 (講談社文庫)
発火点 (講談社文庫)
あまりハズレのない真保裕一作品だけど、これはちょっとハズレに近いかなぁ。なんてったて、ひたすら暗いんだもん。主人公の暗い独白が終始書かれていて、これでもかこれでもかと自分を追い込んでいく。
そりゃ父親を殺された過去を持つ21歳の青年ならば、内向的になっていくのはわかるけど、そういうのは真保作品には求めないと思うよ、読者は。
父親は何故殺されたのか。12歳のあの夏に何があったのか。
12歳の夏の出来事と、21歳の現在の主人公と、その両方を交互に描いていく。最後に真相が明らかになるんだけど、その辺ももうちょっとキレのある展開だとよかったかなぁ。
最後の数ページ、いや、最後の1行は皆どう思うのかな。僕はいい終わり方だと思うけど、唐突に感じる人もいるかもしれない。