妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

なんだかすごい小説だなぁ

『グロテスク』 桐野夏生 著 (文藝春秋
グロテスク
この異様な迫力は何だ?
どんな内容なのか予備知識なしで挑んだこのブ厚い、そして文字の多い(2段組)小説。なんだこりゃ的迫力に押されて、なんだかんだで読みきった。
何が“グロテスク”って、登場人物の誰もがとんでもない人ばかりなのだ。心が捻くれていて歪みまくっている。つまり内面がグロテスクなわけだ。
本当にこんな人がいるのだろうかと心配してしまった。読んでいるうちに彼ら彼女らがとてもかわいそうに哀れに思えてくる。
かなり救いのない話だ。後味もあんまり良くない。それでも小説の中とはいえ、こんなかわいそうな人間がいるのだということを知るために読んでもいいと思う。