妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

戦争の怖さと人間の生き方

昭和二十年夏、僕は兵士だった (角川文庫)

昭和二十年夏、僕は兵士だった (角川文庫)

戦争を体験し生き残った人がどのような思いで今を生きているか、を聞いたドキュメンタリー。
5人のインタビュイーが様々な体験を語ってくれている。そのどれもが悲惨で残酷で痛ましい体験ばかり。
これがほんの少し前にこの日本で起こったことだというのが信じられない。
ありきたりかもしれないが、戦争はどんな理由があろうとやってはいけないと改めて思った。戦争をやっていい理由なんてこの世には一切ない。完全に間違ったことであるのは、この人たちの話を聞けばよくわかる。
したがって自衛隊を日本が持つのは間違っていると思う。持つ意味がない。韓国の兵役、アメリカの軍隊、どれも間違っている。まあ、ここではそれはいいとして。
戦争で死ぬというのは何も敵の攻撃を受けてだけではない。なかでも残酷だと思ったのは飢餓だ。大岡昇平の『野火』でも描写があったがこれは本当に辛い。
それから軍隊の規律はとても残酷だ。船が敵の攻撃で沈没し板きれに数人が掴まって漂流しているところに、掴ませてくれと漂ってきた兵士に、その上官が「いっぱいで無理だ」と言ったら「はい」と答えて沈んで死んでいったというのは信じがたいが、それが軍隊なのだ。たとえ死ぬとしても上官には逆らえない。
戦争を体験した人がどんどん亡くなって、そのうち日本は戦争未経験者だけになる。
どんな体験をして、戦後どういう思いで生きてきたか、こういう記録は非常に重要になる。将来戦争をやらかさないために。