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読んだ本と聴いた音楽のメモ

これはおもしろい

若冲になったアメリカ人 ジョー・D・プライス物語

若冲になったアメリカ人 ジョー・D・プライス物語

江戸絵画が大好きだ。そうなるとやはりプライス・コレクションにも興味が沸く。
これはそのプライスさんが江戸絵画の一大コレクションを築くまでの人生を語ったもの。山下先生がインタビュアーになっている。
これまですばらしい江戸絵画が海外にたくさん流出していることもあって、海外の日本画のコレクターにはあまりいい印象がなかった。
プライスさんも金持ちが金に飽かせて高価な江戸絵画を集めまくっているのだろうかと思っていた。
でもこの本を読んで印象が180度変わった。プライスさんは本当に江戸絵画が大好きなのだ。
絵のことだけを考えて、本当に大事にしている。絵にとってプライス・コレクションに入ることは幸せなのではないかと思えるほどだ。
これだけすごいコレクションは未来もずっと大切にされなければならない。プライスさん夫妻が亡くなった後も散逸することだけはないように。
幸い娘さんが管理を引き継ぐ約束になっているようで安心だ。
プライス・コレクションを見たことで好きになった画家はたくさんいる。其一もそうだし、守一もそうだ。葛蛇玉なんて「雪中松に兎・梅に鴉図屏風」を見るまで名前も知らなかった。あの実物を見たときは感動したなぁ。
今ではプライスさん、日本人が注目すらしてなかった時期に江戸絵画を買っておいてくれてありがとうと言いたい気分だ。