妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

あの旅がよみがえる

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

あの『深夜特急』にまつわる話を書いたエッセイ集。『深夜特急』にはまった人ならとても楽しめると思う。
最初の旅の記憶から、あのユーラシア大陸の旅に出る経緯、執筆にいたる過程、そして後日談など、裏話的なものがたっぷりと書かれている。
旅から帰ってきて原稿を執筆するまでかなり間が空いているのがびっくりした。旅の記憶が鮮やかなうちに書き出したのかと思っていたからだ。
しかし時間を空けることで客観的に旅を見直すことになったという。
それであの臨場感なのだからやはり『深夜特急』はすごい作品だ。

著者が『深夜特急』の旅に出たのが26歳のとき。このエッセイで沢木耕太郎は若いときにしかできない旅をすべきだと説く。今、この旅と同じようなことはできないかもしれないが、こういう経験をするとその後の人生に大きな影響を与えることは間違いないと思う。

巻末に大沢たかおとの対談が載っている。ドラマ化された『深夜特急』を見た人ならさらに楽しめる。