妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

熱気球の冒険の凄まじさ

最後の冒険家

最後の冒険家

熱気球で数々の記録を作ってきた神田道夫とのかかわりを石川直樹がつづったもので、第6回開高健ノンフィクション賞を受賞した。
石川直樹は「ポーラー」などの写真集で知っていたが、こんな凄まじい体験をしているとは知らなかった。
神田道夫と2人で行った熱気球での太平洋横断の失敗の話が本当にすごい。この時初めて死を覚悟したそうだ。読んでいても心臓が痛くなるほどの体験談だった。
その後、神田は単独で再挑戦し、太平洋上で消息を絶つ。同じように失敗したのだとすれば、あの悪夢を一人で体験してしまったことになる。想像を絶する恐怖である。
好きなことをしたいだけして幸せな人生だったんじゃないか、とも言えるが、どうもそれだけじゃないやるせなさが残る。