妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

こんないい本、発見! 上原 隆!

『雨にぬれても』 上原 隆 著 (幻冬舎アウトロー文庫)
雨にぬれても (幻冬舎アウトロー文庫)
知らなかったなぁ、こんないい本を書く人がいたなんて。
“日本のボブ・グリーン”と宣伝されているから気になってはいた。北上次郎氏が褒めていたのを読んで、じゃあいっちょ読んでみるかと手にとってみると、これが大正解。
ルポルタージュ・コラムとでもいうのだろうか。いろんな人に会って話を聞いてそれを8ページから長くて十数ページのコラムにする。短いのでほんの断片という感じだ。でもこれがいい。
取り上げているのは本当に普通の人たちばかり。有名人でも劇的な話があるわけでもない。どこにでもいる市井の人々の話だ。
でもどこにでもいるような普通の人々の話がなんでこんなに胸にくるのだろうか。
著者はあとがきで自分のひそかな夢としてこう書いている。

私は本書に書いたような文章を新聞紙面に載せたいと思っている。アメリカのコラムニストのような仕事をしたいのだ。新聞の隅っこに載っていて、朝食を食べながら読んだ人がふとコーヒーカップを宙で止めるような文章。そしてその文章が心に残り、その日一日人に対してやさしい気持ちになるようなもの。

まさしくそんな文章。大感動じゃないけどじんわり効いてくる。
僕もこんな文章が新聞の片隅に毎日載っていたりしたら、それを読むのが毎日の密かな楽しみになるに違いないと思った。ぜひ実現してもらいたい。とこれは新聞社に頼むべきなのかな。