妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

懐かしい

 

 非常に懐かしいものを読んだ。

私が新本格にハマるきっかけになった本だ。

多分文庫になった時に初めて読んだから、1991年だ。今から30年前。その時の衝撃は忘れられない。

それ以来再読するのは初めてだが、あらすじは覚えてるし、メイントリックも覚えている。だから楽しめるのか不安だったが、全然楽しめた。

やっぱりあの1行は知っていても「おおっ!」と思ったな。本文の組み方も合わせてあるんだろうな。カタルシスがすごい。

今や新本格という言葉もほとんど使われなくなった。でもこういうあっと驚く仕掛けのミステリがやっぱり好き。気持ちよく騙されたい。

新装改訂版が2007年に出て購入しておいたものを14年寝かせてしまった。

 

おもしろかったなぁ

 

 アメリカ在住の著者が日本ではあまり報道されないアメリカのニュースを伝えるコラム集。

トランプとコロナで話題には事欠かない。すごい話がゴロゴロ出てくる。

これを読むとアメリカのニュースって日本じゃほとんど知られてないんだなと思う。

アメリカの今を知るテレビ」でやった話題もいくつか出てくる。

そしてやっぱり思うのは、この人は文章がわかりやすい。コラムニスト(ではないけど)はこれくらいわかりやすい文章を書かないと読んでもらえないと思う。

マニア向けかな

 

 ビートルズのゲット・バックセッションで残された音声を元に彼らが何を喋っていたかを時間とともに並べて、解散までの動きを再現する。

何年か前に出たブートレグから会話を書き起こしたようで、一度出版されたものの再編集版らしい。

映画にする予定だったからこれだけの会話が録音されていたわけで、公開された『レット・イット・ビー』は見たことがないが、この後解散するわけだから暗い感じになるのは当たり前だろう。

しかし、なんか難しいこと言い争ってるなぁという感じで、翻訳のせいもあるのか、わかりづらかった。

歴史的な資料なのは間違いない。外国にこういう本は存在するのかな?日本が先駆けてやっちゃったのかな?

それにしてもマイケル・リンゼイホッグがずっと“オネエ言葉”なのは何故なんだろう?

楽しく読めた

 

 『カササギ殺人事件』で一躍売れっ子になったアンソニーホロヴィッツ。おもしろかったのでこちらも読んでみた。これも「このミス」で1位になったらしい。

魅力的な謎と元刑事、そして書き手の著者自身のキャラの立ち具合。とてもおもしろかった。正統派なミステリと言えそう。

これも映画化されそうだなぁ。

スピルバーグとか実在の人物が出てくるのがおもしろかった。

シリーズになるらしいから、次作も楽しみだ。

 

全部聴きたい

 

 ピーター・バラカンが勧める21世紀の愛聴盤50枚。

21世紀だから2000年以降のアルバムばかりを取り上げている。これがいい。最近の(といっても過去20年か)ものだから入手しやすいし、すぐに聴ける。

古いアルバムで名盤と呼ばれるものはたくさんあるが、そういうのは書かれている本がいくらでもある。2000年代というのが新鮮だ。

彼のラジオ番組を聴けばよくかかる音楽がアフリカのもの、ニューオーリンズのものというのはわかる。この本でもたくさん紹介されている。世間で売れているものではないが、こういうのを紹介してくれることに意味があるのではないか。

掲載されているアルバム全部聴きたくなったよ。

すごい力作

 

 細野晴臣のアルバム『泰安洋行』を深堀りする本書。

HOSONO HOUSE』は頻繁に論評されるけど、『泰安洋行』や『トロピカル・ダンディー』『はらいそ』のトロピカル三部作はあまり取り上げられない。

でもこの人は『泰安洋行』こそ細野晴臣の最高傑作だということでこの本を書いたらしい。『レコード・コレクター』誌での連載時はほとんど読んでなかったが、まとまったので読んでみた。

いろんな関係者にインタビューしてかなりマニアックに掘り下げていてとてもおもしろかった。

トロピカル三部作の聴き方が変わると思う。

関連のアルバムがたくさん紹介されているのでそれを片っ端から聴いてみたくなった。

著者は連載が終わり単行本の準備をしている最中に病気で亡くなったらしい。だから不要な改変を防ぐために連載をそのまま本にしている。連載途中ではなく終えてから亡くなったということに感じ入るものがある。

さくっと読める

 

満月の泥枕 (光文社文庫)

満月の泥枕 (光文社文庫)

 

 最近では道尾秀介もこういうライトなおもしろい小説もあるのだな。

初期のダークな作風もよかったが、さくっと読めるこういうのも悪くない。

話が大掛かりになっていく過程は「どうなるんだろう?」と先が読めなかったが、そこまで深刻なことにはならない。

いい意味で映画っぽいというか、謎から始まってアクションやら活劇チックな2度のクライマックスから、登場人物みんな暗い過去を持っているとか、ホントこれ映画にしたらいいじゃないかな。

ミステリでもないから「おおっ」となることはないが、最後まで楽しめたのは確か。