- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 文庫
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これは物語のおもしろさもさることながらこの時代の雰囲気を味わえるのがいい。時代小説は読んでも昭和初期のこの時代を舞台にした話はほとんど知らない。現代にもわずかに繋がっていることが意識されて親しみ深い世界だ。
話のそこかしこに著者の博覧強記ぶりが発揮されているのがわかる。資料を読み込んだってなかなかここまで書き込めないのではないか。
恥ずかしながら焼失する前の金閣が金箔や漆のはがれた姿だったというのを初めて知った。焼けたために金閣は国宝指定を解除され、銀閣はいまも国宝であるということも。
直木賞受賞作であるが、これに贈賞するなんて直木賞ならではの「今さら」感丸出しである。