妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

時代小説ではいちばん好き

むこうだんばら亭 (新潮文庫)

むこうだんばら亭 (新潮文庫)

乙川優三郎の時代小説は何を読んでもグッとくる。
硬派な文章と人間くさいテーマで長編でも短編でもあっという間に読めてしまう。
これは連作短篇集だ。いろんな女性の主人公が出てくるが、みな様々な事情から身をひさいできた過去を持つ。好きでそういう世界に身を置いてきたわけではないので、どうしても心に傷を持って生きることになる。この傷は現代よりも深い傷なのだろう。なんともやりきれない思いに胸をかきむしりたくなる。