妄想特急 books & music

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寺の修行ってどうなの!?

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)

普通のサラリーマンが思い立って永平寺で修行する。その1年間をつづった修行体験記。
体験記といっても取材とかそういう気軽なものではなく、本当に雲水として厳しい修行を重ねる。
この出家という修行の一部始終が1年間に渡って紹介されているが、これが本当に厳しい。あまりの厳しさに僕は相撲部屋を思い出してしまった。リンチをやって殺人までしてしまったあの相撲部屋である。
もちろん永平寺で殺人は起きないが、生活のあらゆることが細かくきっちり決められていて、それを少しでも失敗すると容赦なく先輩雲水の制裁が行われる。すなわち殴られるわけである。
食べるものも制限され栄養失調のようになったり、体力的に限界がきて入院する者もいれば、厳しさに耐え切れず脱走する者もいる。残飯をあさる場面を読んだときには、本当にこの修行というのは正しいのか、何の役に立っているのか、考えてしまった。
とはいえ、問題の相撲部屋のように永平寺の修行がイジメだと言って裁判所に訴える人もいないわけで。仮に訴えたところで「そりゃお前の努力が足りないだけだろう」と言われるだけだ。
最終的には本人がどう感じるかというところに行き着く。今の世の中、これだけ厳しくやらなくては人間変わることはできない。そう思ったら修行はもうその人の身になっているわけである。