通勤時間が格段に縮まってうれしい限りなのだが、混んでるわ乗る時間が短いわで、本を読む時間が少なくなった。自分の部屋にいるときに読書をすることはまずないので、読むペースが落ちてくる。まずいなぁ。読みたい本はどんどん増えてるのに。
この1ヶ月に読んだ本をまとめて。
- 作者: 黒田研二,二階堂黎人,二階堂黎人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 文庫
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まさしくトリックのためのミステリ。いかにトリックで読者を驚かすかに重点を置いた小説だ。本格ミステリは僕も好きだけど、これはいただけない。一昔前によく言われた「本格ものは人間が描けてない」なんて言うつもりはないが、ここまでくるとパズルかクイズみたいに思えてくる。
肝心のトリックはすごいんだけど、最後の方でバタバタと謎を明かしていったみたいで、分かりづらいんだよなぁ。もうちょとスマートに書いて欲しい。
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 文庫
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父親が倒れたことがきっかけで、自分と父親の関係を改めて考える著者の姿が描かれている。それがけっこう冷静で、悪く言えば「冷めた目」で親子関係を俯瞰している感じなのだ。
自分のことを考えると、父親の方が先に亡くなるのは間違いないだろう。そうなったら僕はどう感じるのだろうか。それを考えたら怖くなってしまった。
近親者の死というものをほとんど体験していない僕は、「死」という概念が実感として感じられないようなのだ。祖母が亡くなったときは大学生だったが、周りがみんな号泣しているなか、自分だけ涙が出なくて困った。別に悲しくないわけじゃない。でも嘘泣きするわけにもいかずただ黙ってたことをよく覚えている。
著者は自分の父のことをほとんど知らない、話を聞こうと思っているうちにとうとうここまでやってきてしまった、ということを言っている。これも自分に置き換えて考えてみると、見事なくらい何にも知らない。聞いておきたいとは思うが、きっかけがない。世の中そんなもんなのかもしれんなぁ。
誰でもいつかは親と死に別れるのである。それをしみじみ考えてしまった。
- 作者: 真保裕一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 文庫
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はずみで人を殺してしまった青年が主人公。殺人を犯してしまったことは悔やんでいるが、仮釈放となった今でも、被害者のことが憎いという感情が消えない。
6年間の刑期を経て出てきたが、刑務所帰りの人間に世間は冷たい。被害者の家族も自分を許してはくれない。6年前付き合っていた彼女はいまどうしているのかまったくわからない。
もちろん被害者遺族がつらいのは当然だが、加害者本人、加害者側の家族もこれほどまでに行きていくのがつらいのだとはじめて知った。
何度も何度も追い詰められる主人公。そのたびに「人生やり直そうとしてるんだからそっとしておいてやんなよ」という気持ちと、「でも殺された側の家族は6年くらいで出てきたんじゃ納得いかないだろうな」という気持ちで、ぐらんぐらん揺れた。
これは永遠に答えのでない問題なんだろうか。