妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

ええ話や・・・

『幼な子われらに生まれ』 重松清 著 (幻冬舎文庫
幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)
いい話というよりは、ほろ苦い家族の話という感じかな。
そう、重松清といえば“家族”がテーマの小説だ。家族を描いた作品なら読者はどこかに感情移入できる。たとえできなくても身近な問題として考えることはできる。普遍的なテーマなのだ。
主人公は38歳のサラリーマン。妻と娘2人の4人家族。夫婦ともに再婚同士で、2人の娘は妻の連れ子だ。前妻との間にも1人娘がいる。幸せに暮らしていたはずだったが、妻のおなかに子供がいることがわかってから徐々に家族は崩壊していく。
僕自身は33歳なのだけど(それにもちろん子供もいない)、この主人公にもろ感情移入してしまった。つらいよなぁ父親って。
けっしてハッピーエンドじゃないけど、かすかに救われるラストはいかにも重松らしい。