妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

ハズレなし

『顔 FACE』 横山秀夫 著 (徳間文庫)
顔 FACE (徳間文庫)
横山秀夫にハズレなし、とはよく言ったものだ(僕が言ってるだけだけど)。とはいえ、僕は文庫派なので横山作品は文庫で出てる4冊しか読んだことがない。でもそれがすべて傑作なのだから、ハズレなしと言ってもいいだろう。誰でも知ってるか、そんなこと。
この『顔 FACE』という作品は連作短篇集。主人公は鑑識課の似顔絵婦警・平野瑞穂巡査だ。指名手配なんかのときに似顔絵を描く係ね。
彼女の活躍ぶりを描くのだが、活躍っていってもこれが挫折や苦悩ばかり。婦警ってだけで男社会の警察では「だから女は使えねぇ」と言われて苦しい立場に追いやられる。ここまでの扱いを受けてよく婦警さんはやっているよなぁ。ま、じっさいもこれほど厳しいのかどうかはわからんが。
作品としてはもう文句のつけようがありません。謎があって意外な真相があるというミステリとしての出来もすばらしいし、主人公がつらい経験をしていく中で成長するというドラマという点でもよく出来ている。
横山秀夫の作品はなかなか文庫にならないので、文庫派としてはホントにじれったい作家だ。早く次が読みたい。