妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

職人ものをまた1冊

『京の職人衆が語る桂離宮』 笠井一子 著 (草思社
京の職人衆が語る桂離宮
桂離宮の昭和の大修理を手がけた職人たちがそのワザや自分の仕事に対する想いを語った本だ。
桂離宮の大修理の様子を事細かに説明しているのかと思ったが、話のメインはそれぞれの職人が自分の仕事を全体的に語っているものである。
棟梁に始まって、葺師、左官、畳師、唐紙師、表具師、錺師などそれぞれの担当の仕事が愛情を持って語られる。その仕事へのこだわりといったらもうすごいの一言である。桂離宮を三百数十年前の元の姿に復元するというのが、このときの修理のテーマだったらしい。それには手間もお金も惜しむなという方針だ。そりゃ職人も力が入るってもんだ。
いろいろ細かいところまで仕事のやり方を教えてくれているのだが、やっぱり実際やっているところを映像で見たいという気持ちが湧いてくる。願わくばこのときの様子を撮影してDVDかなんかで出してもらいたいなぁ。いま言っても遅いのだが。
どの職人さんも最後に言っているのは、後継者がいなくて廃業するしかないということ。この技術を後世まで伝えていく術は本当にないものだろうか。もったいないとしか言いようがない。国宝やら重要文化財なんかが絡んでくるのだから、やっぱりもっと国がバックアップしていくしかないんだろう。国に期待できないとしたら、金持ちIT長者の誰かさんにお金をたっぷり出してもらって、いろんな建築物を修復をするとか。そういうところにお金をたくさん出せば何かと評判が悪いIT社長もイメージアップにつながるんだけどなぁ。