妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

おもしろい話をききたくはないか?

『職人ワザ!』 いとうせいこう 著 (新潮社)
職人ワザ!
職人に話を聞くのは楽しいに決まってる。どんな職人でも、それが自分がまったく興味がない仕事でも、ぜったいおもしろい話が聞けるはずである。ある仕事に人生をかけて没頭している人は、その仕事ぶりを聞いているだけでおもしろい。
この本はいとうせいこうが12人の職人にインタビューしその話をまとめたものである。出てくる職人はいろいろ。中でも僕が特におもしろかったのは、オーダーメイドの背広を作っている「テーラーホリベ」の堀部新一さん、アクセサリーなどの原型師・山口緩奈さん、パイプを作り続ける「柘製作所」の柘恭三郎さん、テレビ朝日でスイッチャー(テクニカルディレクター)をやっている福元昭彦さん、スポーツ刈りに命をかける「ヘアモードsegawa」の瀬川守さん、などなど。
いとうせいこう自身、浅草に住んでいることもあって浅草の職人さんと親交が深く、その分相手も構えることなくいろんなことを喋ってくれる。この本の成功要因だ。もちろんいとうせいこうが聞き上手ってこともある。しかもいとうせいこう、意外に(と言っては失礼か)文章がうまい。
伝統的なモノを作っている人じゃなくても、いや、モノを作っている人でなくても、極端に言えば普通のサラリーマンでさえ、自分の仕事の職人であると言えよう。この本を読んでなんかそんなことを考えた。もっといろんな職人の話を聞いてみたい。