妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

言うことなし!

『孤宿の人』(上・下) 宮部みゆき 著 (新人物往来社
孤宿の人 上 孤宿の人 下
宮部みゆきの時代小説ってなんでこんなにいいんだろう。
今回はとても悲しい物語で、途中何度も涙が出そうになった。特に後半はウルウルシーン続出でまさに“涙なくしては読めない”展開。
讃岐の丸海藩に、江戸から幕府の重臣でありながら罪人の加賀殿が流されてくる。丸海藩の涸滝と呼ばれるお屋敷に幽閉しておくよう沙汰が出たためだ。しかしそれ以来、丸海藩には怪異な事件が頻発。それを調べる引き手の宇佐、涸滝のお屋敷に下女として使わされた少女・ほう。加賀殿とほうの不思議なめぐり合い。それまで平和だった丸海藩はいろんな人たちを巻き込んで未曾有の騒ぎへと突入していく。
この“ほう”という少女が無垢であどけなくて、それが涙を誘う。
読みやすい文章であっと言う間に読めるのがまたいい。さすが宮部みゆき。言うことなしの傑作である。まずは読んでみてほしい。