妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

なかなかやるね

『十八の夏』 光原百合 著(双葉文庫
十八の夏(文庫の写真がないので単行本のもの)
タイトルは直球の青春小説のように感じるが、これがそう単純ではない。第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞していることからわかるように、ミステリである。
僕の印象からすると、青春7:推理3って感じかな。全体の雰囲気としては爽やかな小説なので、ミステリとしては甘い部分もあるのだけれど、小技が効いていてさらっと読める。思わず「うまいねぇ」と思ってしまう。
4編あるうちでいちばん良かったのは『ささやかな奇跡』。ま、ミステリというほどたいした謎もないし、先が読めてしまうんだけど、短編小説としてなかなかいい味わいを出している。読後、心がほんのりあったかくなるような。
想像だけど、この人たくさん書いていくうちにどんどんうまくなるような気がする。