妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

今日読み終わった本

博士の愛した数式小川洋子 著(新潮社)
博士の愛した数式

去年から売れ続けベストセラーになっているこの本を読んだ。
これは第一回本屋大賞を受賞している。本屋大賞ってのは、全国の書店員が読んで面白い、売りたいと思った本のコンテストで、その第一回の大賞なのである。
80分しか記憶がもたない老数学者“博士”と、そこへ来た家政婦、その息子の“ルート”の3人がすごしたある夏の時間がつづられている。
こういった障害を持つ主人公の話はよくある。言い方は悪いが、その病気(障害)の症状が奇妙なほど展開はドラマチックになるのは当然だろう。
しかし、この物語は80分以上記憶を持つことができない博士が主人公なのに、ストーリーは意外なほど静かな展開だ。ほのぼのとした印象すらする。劇的でも悲劇的でもないのだ。
これはとても大事なことだ。だってその病気を使えばいくらでも事件は起こせるのだから(あんまり言葉は良くないが)。
それをせずに淡々と3人のふれあいを描くことにこそ、この本の魅力があるのだ。
これ、そのうち映画になるんじゃないかな。