妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

絵の修復のすばらしさ

モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事

モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事

絵の展覧会などによく行くが、いつからかその修復に対して興味を持つようになった。
元々音楽作品のリマスターはとても気にしていて興味があった。そこから絵のリマスター、つまり修復に興味がいくのは当たり前なのかもしれない。
自分で芸術的な作品を作り出すことは到底できないと自分の才能を見定めたときから、人の作品を支える縁の下の力持ちになりたいと思ったのだろう。
作家ではなく編集者になりたいと思ったのもそれが理由だと思う。
絵画の修復家としてテレビで一度見たことがある岩井さんの本が出ていてすぐに読みたいと思った。
どうやって修復をするのかという興味だったが、読んでみて技術よりも精神的なものがいちばん大事なのだとわかった。
その絵をこれ以上劣化させたくない、自分が今やらないとこの絵はこの世から消えてしまう、そういう使命感が彼女を奮い立たせているのだろう。
そして修復にとどまらず、絵の保存方法や展示方法などの研究までやっていることに驚いた。やらざるを得ないということらしいが。
日本では修復に対する認識がほとんどなく、そもそも修復家がとても少ないらしい。だからこんなことまでやらなくてはいけないそうだ。外国からだいぶ遅れている。
修復が絵にとって、日本の文化の維持・発展にとってどれだけ大事かをもっと世間に広めないといけない。彼女がそれをやりたいと思うのも当然だろう。
自分がいま高校生なら修復家を目指すところだが、これからなれるわけでもないので、彼女がやろうとしている「日本に修復センターをつくる会」を応援していきたいと思う。