妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

心に残る時代小説

かずら野 (新潮文庫)

かずら野 (新潮文庫)

なんだろう、この読後感。悲しい話だし鬱々としてくるのに、不思議と嫌な感じはしない。
平易でわかりやすく無駄の無い潔い文章も決して安っぽくならず、かえって上品な感じがする。
妾として親に売られた主人公があるきっかけで各地を転々とすることになる、その半生。
この時代にはこういう人がたくさんいたのだろうと思うと、悲しくなってくる。
人生を半分諦め、半分期待して生きていくのは、現代よりも大変だと思う。