- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/06/29
- メディア: 文庫
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中学生の置かれた状況が本当にキツくてつらくて、読んでて悲しくなってくる。いじめ、クラス内の人間関係、先生との関係、本当に生きているのがつらいんじゃないか、この状況に自分が置かれたらすぐに学校を辞めているなというくらい。
そういう生徒が吃音の村内先生と関わって話をし、少しだけ救われる。
おそらくこういう話は理想だと言われるだろう。いい先生がいたからってそう簡単に生徒は救われないよと。現実の中学校・高校はこんなんじゃない、もっとひどいと。
多分そうなのだと思う。これは理想的すぎる。村内先生の言葉が生徒の心に届いていく場面は感動的なのだが、現実にあり得るのだろうかとも思う。
でも現実がそれほどひどいなら小説の中だけでも理想を書いてもいいんじゃないか。いやむしろ小説には理想を書くべきじゃないか。
バッドエンドとは言わないまでも救いのない話を書けば映画でもドラマでも名作と言われることが多いのは、なんか納得がいかない。
こういう微かではあるが希望の光が見える話を僕は読みたい。