妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

なかなかやるな本多孝好

FINE DAYS (祥伝社文庫)

FINE DAYS (祥伝社文庫)

恋愛小説って堂々と書いてあるのにちょっと怯んだ。が、読んでみたらなかなかいい小説だった。短編集で、そのどれもが一ひねりある展開で、楽しめた。
いちばんよかったのは「イエスタデイズ」という短編だ。癌で余命いくばくもない父親から昔の恋人を探してほしいと頼まれた息子。唯一の手がかりはスケッチブックの絵。昔父親が住んでいたというアパートに向かってみると・・・。
ストーリーはありがちと言えばありがちではある。
ただ自分がこういう話が特別好きだからというのもあるが、とてもうまく書けていて、展開が読めてもしらけることなく話を追っていけた。
村上春樹の影響を受けていると言われているらしいが、それほどクセもなく素直な文章だと思った。読みやすいと思う。