妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

北村薫大好き

街の灯 (文春文庫)

街の灯 (文春文庫)

北村薫ってホントにやさしい物語を書く。どの作品も主人公が純粋。で、事件を通じて人間的に成長していく。この『街の灯』の主人公は昭和7年の上流家庭のお嬢様・花村英子。
英子も箱入り娘ではないけれど、やはりお嬢様だけに世間の荒波にもまれてはいない。そこへ女性なのに運転手として別宮(べつく)みつ子がやってくる。ベッキーさんと密かにあだ名を付けた英子は、ベッキーさんに刺激されいろんな事件を通じて成長する。
昭和7年の雰囲気がとてもよく出ていて(知らないけど)、読んでいて楽しい。銀座の和光が服部時計店として開業した当時がよくわかる。
北村薫作品はミステリとしてのおもしろさももちろんあるけど、この世界観に身をゆだねるのが心地いいのだ。これを味わいたくていくつも読んでしまう。
この英子とベッキーさんは北村薫3つ目のシリーズだという。“円紫さんと私”シリーズ、“覆面作家”シリーズともにとてもおもしろかったので、これも期待大だ。