『風が吹いたら桶屋がもうかる』 井上夢人 著(集英社文庫)
さすが井上夢人! うまい。よくできている。ホント何読んでも感心するなぁ。
男3人で共同生活をしているシュンペイ、ヨーノスケ、イッカク。シュンペイはフリーターで牛丼屋で働いている。イッカクはパチプロ級の腕前で小遣いがなくなるとパチンコで稼いでいる。ヨーノスケは超能力者だ。超能力といってもほとんど何の役にも立たない微妙な力である。趣味でやっているだけで、それで金儲けしようだとか有名になろうだとかは考えたこともない(あまりにも微かな超能力なので金儲けができないのであるが)。
しかしどこから聞きつけたか、ヨーノスケの力を頼りにやってくる女性たち。しぶしぶトライしてみるが、理屈屋のイッカクがヨーノスケそっちのけで論理的に解決しようとする。
連作短編集で、すべての話がこのパターンで展開する。ワンパターンかと思いきやそれぞれおもしろい。イッカクのするどい(?)推理が最高である。
ぜひシリーズ化してほしいが、作者には酷だろうな。