妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

輝と圭吾

『森のなかの海(上・下)』 宮本輝 著(光文社文庫
森のなかの海(上) (光文社文庫) 森のなかの海(下) (光文社文庫)
心の中からじんわり元気になる物語。
宮本輝阪神大震災を経験している、と何かで読んだことがある。関西に住んでいるらしい。その体験がやっぱり彼の人生に影響を与えたのだろう。この作品の冒頭はその地震から始まる。
震災に遭った日から希美子にはいろんなことが起こるが、それはつらいながらもゆっくりと彼女の心を癒していく。
僕は登場人物の心の動きを細かく書くよりも、事実(登場人物の言動)を書き連ねていってそこにそれぞれの心情が炙り出されてくるような小説が好きだ。
ま、そこが難しいんだろうけどね。宮本輝はそれを見事にやっている。さすがベテラン。

『時生』 東野圭吾 著(講談社文庫)
時生 (講談社文庫)
いまの時期、東野圭吾を読んでるとにわかファンだと思われるのがくやしい。自意識過剰なんだろうけど。
えーとこの『時生』、やられました。こういうの大好きです。泣けました。ずるいです。僕の弱いところをピンポイントで突いてきました。
こういうのを「んなアホな」という人とは話が合わないだろうなぁ。
最後の拓実のセリフはたまらん。泣き所。