妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

あの最相葉月のエッセイ集

『なんといふ空』 最相葉月 著 (中公文庫)
なんといふ空(文庫がないので単行本の表紙です)
絶対音感』『青いバラ』等の傑作ルポを書いた最相葉月による初のエッセイ集。
なんでもない昔話や日々感じていることなどを書き綴っているが、ルポライターらしくさりげない導入から詳しく調べていったものなどがやっぱりうまい。文章もとてもシンプルで飾り気がないのはノンフィクションのルポを書いているからか。
冒頭の一篇「わが心の町 大阪君のこと」は真中瞳主演の映画「ココニイルコト」の原案にもなった。映画の原案になったとはどんなエッセイなのだろうかと読んでみたが、約2ページ半のそれは短いものだった。そんな読めば1分くらいで終わるエッセイを読んで、監督は2時間の映画にしたのである。監督の想像力がすごいのか、原作の力がすごいのか。とても印象に残る一篇であることには間違いない。