妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

おふざけ系な東野圭吾

『超・殺人事件 〜推理作家の苦悩』 東野圭吾 著(新潮文庫
超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)
ほとんどハズレがない東野圭吾。この短篇集も例外ではなかった。どれも読後ニヤリとしてしまう技アリの短編ばかりだ。
すべてに推理作家が登場する。そしてみんな苦悩している。書けない悩みだったり、税金対策に頭を抱えていたり・・・。
そしてすべて“おふざけ系”と呼んでもいい作品なのである。まあ、こういう息抜き的短編を書きたいときもあるのだろうな。でも息抜きとはいえ(本当に息抜きかどうかはわからんが)一ひねりも二ひねりもしてある。さすが東野圭吾だ。
特におもしろかったのが最後の「超読書機械殺人事件」。ある書評家が読む本が多すぎて書評を書くのが追いつかず途方にくれている。また、駄作の書評を頼まれているが、お世話になっている編集者からの依頼のため酷評するわけにいかない。ほとほと困っているとセールスマンがやってきて“ショヒョックス”なる機械を勧め出した。自動的に書評を書く機械だという。本を中に入れてスイッチを押せば10分ほどで書評が出てくる。しかも甘口レベルから酷評レベルまで自由自在だという。渡りに船と早速使ってみるのだが・・・。
このラストのすごさ。作家がこんなこと書いていいのか。でも笑えちゃう。
サクッと読めてお手軽だけど小技が効いている、まるでイチローのヒットみたいだ。