妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

もうちょっとキレがほしい

翼をください (創元推理文庫)

翼をください (創元推理文庫)

嵐の孤島で起きた殺人事件をめぐる意外な真相のミステリ。
帯を見て単純にミステリを楽しみたくて読んでみた。
たしかに犯人はわからなかったし、意外な真相とはそのとおりであった。でもちょっと力技的なところがあって、もう少しスッキリしてほしかったという感じだ。
台風が接近している島で大学生グループ全員が自転車で嵐の中をでかけて行く、というそのこと自体結構無理やりのような気がする。まあそうしないと殺人事件が起こらないのだが。
とはいえ、こういうミステリも久しぶりで楽しんだのだけどね。

おもしろかったー

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

『ぼぎわんが、来る』がおもしろかったのでこちらも読んでみた。
この人ホントに力あるよなぁ。こちらも劣らずおもしろかった。
ただのホラーってあんまり好きではないのだが、これはミステリ要素もあって、ストーリーのおもしろさでぐいぐい読ませる。
私がいちばん懸念していたクライマックスの派手な戦いのシーンは前作よりも抑え気味で、ちゃんと怖く、迫力もあって、ぜひ映像で見てみたい。でもこれ映像化不可能なんだよな。

中国残留孤児の話

あの戦争から遠く離れて: 私につながる歴史をたどる旅 (新潮文庫)

あの戦争から遠く離れて: 私につながる歴史をたどる旅 (新潮文庫)

著者の父親が中国残留孤児であったことからその父親のこと、自分が中国に留学した時のこと、軍人だった祖父のことなど、自分につながる戦争のことを綴ったノンフィクション。
著者は私とほぼ同世代。つまり戦争を知らない。しかし父親の人生を考え出してからそれを作品にしようとして作家になったようだ。
これがデビュー作らしい。とてもそうとは思えないほど読み応えがある。
当時の孤児がどれだけ大変な思いをしたか、日本に戻ってきてからどれだけ苦労したか、それがよくわかるし、現代の中国人の日本に対する心情など戦争が自分のこととして迫ってくるようだ。
これを書くにあたってノンフィクション作家にアドバイスをもらったらしいが、そのアドバイスをことごとく無視して書いているのが痛快だ。(解説をその作家が書いている)

フェルメール展の前に

フェルメール最後の真実 (文春文庫)

フェルメール最後の真実 (文春文庫)

フェルメール展などの展覧会を企画して作品を集めてくる仕事をしている著者がその内幕を教えてくれる。
フェルメール作品がどういう来歴なのかをコンパクトに紹介してくれてもいるので、速攻で学びたい人には最適。作品ごとの解説も全点について写真と一緒に入っている。
作品を世界中から集める仕事って大変なんだなと思った。今までは「フェルメール展」とかやってても「ああ、やるんだ、じゃ見に行くか」と思っていたが、この本を読んだら「これだけ集めるのにどんな交渉・駆け引きをしたのか」と思うようになるし、すごい額のお金が動いたんだなと思う。
世界の美術館に散らばってるフェルメール作品を日本に持ってきたい、その情熱だけだと言ってるが、やっぱりそれなりの報酬をもらってるんだと思う。もちろん本の中ではリーズナブルな金額だと書かれてるが、本当はいくらもらっているのか知りたい。庶民は下世話なんだよ。

微妙かな・・・

短編集。時代小説で大好きな乙川優三郎も現代小説をいくつか読んできたが、そのたびに「微妙」と思ってた。それにも懲りずにまた手を出したけど、今回もやっぱり「微妙」だった。
恋愛を描いたものが多いし、人生の晩年を描いたものばかりだ。恋愛ものがあまり得意じゃないので、まあそこが問題なんだろう。人生の晩年というモチーフは好きで結構ぐっとくることも多い。
でも恋愛ものでも時代小説になると平気になるのだから、どういうことなんだろうか。
文章は相変わらず端正ですばらしい。

激おもしろです

恋するソマリア (集英社文庫)

恋するソマリア (集英社文庫)

同じ著者の『謎の独立国家ソマリランド』がめちゃくちゃおもしろかったので続編にあたるこれも読んでみたら、期待に違わず非常におもしろかった。
著者のソマリアに対する愛情がすごすぎてちょっと引く。でも異文化を理解するにはこれくらいしないとダメなんだろうなと思う。
これを読むと誰でもそうだと思うがハムディのファンになるのは間違いない。若くてリーダーシップがあって美女というんだから。彼女なら政治家になれる気がする。
もっともっと続編が出そうで期待しかない。

おもしろい

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

近未来SF。謎の男・ジョン・ポールを追うアメリカ兵を描く。
ふだんSFはほとんど読まないが、なにか気になり読んでみた。
とてもおもしろかった。
人工筋肉で作られている乗り物とか、いろんなギミックが楽しかった。
ストーリーは結構重い。しかし読み口は軽快なのでスラスラ読めた。
作者が早逝したのが惜しまれる。