妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

重かったなぁ

球体の蛇 (角川文庫)

球体の蛇 (角川文庫)

叔父さんのシロアリ駆除の仕事を手伝う高校生の主人公がある家の軒下に検査で入ることから始まる重く辛い話だ。
話がどう展開するのかまったくわからず読み進んでいった。終始重苦しい雰囲気が漂い、過去の事件の真相などがわかってきたりしてさらに重くなるという、なんか道尾秀介はこういうトーンの作品が多いなと思った。
ただしこの作者がただの小説にするわけがない。隠されていたことが明らかになるにしたがってどんどんつながっていくし、最後は重苦しい扉をちょっとだけ開けてくれる。なかなかな仕掛けも施されている。
そうは言ってもこれは本当に救いのない話だ。考えれば考えるほどこんな辛い話があっていいのかと思えてくる。だから読後感は結構きつい。
まったくこの作者はすごい才能だと感心する。