妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

ペット・サウンズと村上春樹

ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)

ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)

アメリカの音楽評論家でミステリ作家が書く『ペット・サウンズ』偏愛エッセイ本。訳は村上春樹
『ペット・サウンズ』とはもちろんビーチ・ボーイズの名盤である。というよりロック、ポップス界の名盤だ。その名盤を、作者が、大好きなんだろうなぁ、これでもかと絶賛しまくる。
読む前はこのアルバムに絡めた私小説っぽいものだと予想してたんだけど、そんなもんではなかった。ここのメロディが、ここの歌詞が、こんな優れているというのを、ブライアン・ウィルソンの心情を読み取りながら展開させていく。
ところで、僕は『ペット・サウンズ』のCDを持っているし、何度も聴いてるし、好きではあるのだけど、世間の「これぞ世紀の大名盤!」といった持ち上げ方がどうも気持ちが悪いと思っている。雑誌などでロックのオールタイムベストなんかを特集すると、必ずといっていいほど1位になる。もういいよ・・・と思ってしまうんだ。わかったよ、このアルバムがすごいのはわかったから、という感じ。
「神のみぞ知る」より「アイ・ゲット・アラウンド」の方が、「素敵じゃないか」より「ファン・ファン・ファン」の方が好き、と言ったらガキなんだろうか。僕はそうなんだけど・・・。
村上春樹のあとがきがまるで短編エッセイで『ペット・サウンズ』と自分についてたくさん書いてる。翻訳したんだからこのくらい書かせろってことか。